絵を見せて語るいろいろ・02

カヴァド/インド


インドには、絵解きや絵巻など、
絵を見せながら物語を語る伝統的な芸能が、現在も各地で行われています。
「カヴァド(Kavad、Kaavad)」もそのひとつ。
ラージャスターン州に伝えられ、
その歴史は300年とも400年ともいわれています。

一般的に「絵」は、紙や布に描かれるものですが、
カヴァドでは、木の板で作られた箱に描かれます。

箱には扉があり、それが折りたたみ式になっていて、
たたんだり、開けたりしていくと、次々に場面が展開していく。
その絵を指さしながら(クジャクの羽根を使うこともあるようです)、
物語を語っていくというわけです。

あるいは、あらかじめ布で板を覆っておいて絵を隠しておき、
それをずらして取り外すことで、場面場面の絵を見せていくということも
しているようですね。

そうして次々に扉を開いていき、最後の扉を開くと、
その奥に、神さまの神像が置かれていたりします。
この神さまは、物語の結末で登場し、救い主のはたらきを担ったりするのだそうです。

さながら箱の奥にご本尊を奉った厨子とか仏壇の、からくり仕立て
といったような風にも見えます。
宗教に関する物語を扱うことも多く、
演じる人は、芸人というよりも宗教家とみなされることもあるそうです。

ちょっとしたタンスほどの大きなものもありますが、
たいていは持ち運びに便利な、小さいサイズ。
これを携えて、語り手は村から村へと、旅をしながら語って歩く。
なので、「Portable Shrine(持ち運び可能な聖堂)」とも説明されます。

これは筆者のうろおぼえの記憶なので恐縮なのですが、
ずっと以前、ブータンの寺院を紹介したTV番組の中で見たような気がします。
こうしたからくりの箱を、
日本の修験者が背負っていた「笈(おい)」のようにかついで歩いては、
その絵を見せながら、人々に語っていたような……。

ブータンは仏教の国ですが、
ラージャスターン州のカヴァドはヒンドゥー教なので、
カヴァドがブータンで行われているというわけではないでしょう。
が、もしかしたらその形式が伝わったのではないかと思うのですが……、
不確かな情報でスイマセン。

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どんな物かは、画像を見た方がわかりやすいですね。
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「YouTube」に、紹介している動画がありました。




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題材は、「ラーマヤーナ」や「マハーバーラタ」など、神話や英雄、または父祖の物語。
語り手は、物語を記憶していて暗誦するのだといいます。

最近では、このからくりの形式を使って、
子どものための教育に使おうという試みがなされているそうです。

Nina Sabnaniさんという方が、幼児向けの教材に関わられていて、
動画の中で紹介しています。


こちらの素材は、板ではなく、厚紙。
仕掛け絵本の「カヴァド」版といった感じでしょうか。

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小西正捷さんによると、
1988年、国際人形劇連盟「ウニマ」の関連行事で、
日本の人形劇団が「カヴァド」形式の「モモタロウ」を演じたんだそうです(1)
どんな試みだったんでしょうか?

いやあー、おっもしろそうですねえ。

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《引用・参考文献》
(1)小西正捷「インド民俗芸能誌」法政大学出版局

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by kamishibaiya | 2012-05-10 06:15 | 絵を見せて語るメディア | Comments(0)

「ポレポレ」は、スワヒリ語で「のんびり、ゆっくり」という意味です。紙芝居屋のそんな日々。


by kamishibaiya