絵を見せて語るいろいろ・00〈index〉



人間は、太古の昔から、世間話やうわさ話なども含め、口から耳へと物語を語り伝えてきました。
それが神話や昔話、伝説にもなっていく。
人から人へ、口から口へと語り伝え、継承していく“口承文芸”というやつです。
そんな中、描いた絵を見せながら語り伝えるという手法が生まれます。
耳ばかりでなく、目にも訴えるそのやり方は、
時には、口頭のみで語り伝える以上に、いきいきと物語のおもしろさを伝えたことでしょう。

今では、映画やアニメーション、テレビ、インターネットなど、
ヴィジュアルの技術を駆使したさまざまなメディアが発達し、あふれています。
その中にあって、絵を見せて語るという、こうした素朴なメディアは衰退していく傾向にあります。
が、シンプルであるがゆえに、また、人から人へ、“生”で伝えるメディアであるがゆえに、
今もなお魅力的に思えるのです。

世界のそんな「絵を見せて語る」メディアをまとめてみます。

 日  本 

▶冊子
「詞書(ことばがき)」の文字が書かれた冊子と、絵が描かれた冊子の2冊で1組。
聞き手が絵の冊子をめくってながめ、それに合わせて語り手が詞書の冊子を読む。
スタイルとしては、「絵本の読み聞かせ」のヴァリエーションと言えるだろうか。
平安時代、貴族のあいだで行われた。
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▶絵巻
もともとは、読者ひとりを対象にしたもの。
読者は、巻き物に描かれた絵を見つつ、その絵とともに書かれた詞書(ことばがき)を読んだりしながら、
スクロールしてながめていく。
それが絵解きに使われ、3〜4人を相手に、語り手が語った。
さらには、多数の聴衆(見物人)を対象にしたパフォーマンスに使われる。


▶絵解き
掛け軸絵、または絵巻を見せながら、語る。
パフォーマンスを行う人を、絵解き師ということもある。

▶のぞきからくり
複数の絵を入れ替えて見せながら、歌い、語る。
押し絵や透かし絵など、立体的に見える工夫をした絵やからくりを、
小さな穴やレンズを通して見せることで、より立体感を演出する。

▶写し絵
ガラス板に描いた絵を幻灯機で見せて、絵を動かしたりしながら、語り、演じる。
パフォーマンスを行う人を、写し絵師という。

▶活弁(活動弁士附きの無声映画)
映画にまだ音声の技術が伴わなかった時代、その無声映画(活動写真ともいった)の映像に、
説明や台詞などを加えて語る。

▶絵本の読み聞かせ
絵本を見せながら、読んで語る。

▶紙芝居
複数の絵を次々に抜いて連続して見せながら、語り、演じる。



 中  国 

▶変(変文)




 インド 

▶チトラカー[chitrakar]


▶ポトゥア[patua]
絵巻を縦にスクロールして語る。
パフォーマンスを行う人のことをポトゥアという。使用する巻物をポトという。

▶ボーパ[bhopa]
掛け軸絵を見せながら、歌い、語る。
パフォーマンスを行う人の男性形を「ボーパ」という。女性形は、ボーピ[bhopi]。
使用する掛け軸の布をバド[phad]という。

▶カヴァド[kavad]
木箱の扉を開けたり、折り畳まれた二重、三重の中扉を展開したりしながら、
その板に描かれた絵を見せて語る。


 チベット 

▶マニパ[ma ni pa]
宗教者のことをマニパといい、あるいはラマ・マニ[bla ma ma ni]ともいう。
その宗教活動のひとつとして、タンカ (掛け軸絵)を使い、絵解きを行う。



 インドネシア

▶ワヤン・ベベル[Wayang Beber]
垂直に立てかけた絵巻をスクロールさせて見せながら、語る。



 イラン 

▶パルデ・ダール[Pardehdar]
掛け軸絵を見せながら、語る。
パフォーマンスを行う人をパルデ・ダーリー[Pardehdari]という。



 ドイツ 

▶ベンケルザング[bänkelsang]
掛け軸絵を見せながら、歌い、語る。
パフォーマンスを行う人をベンケルゼンガー[bänkelsänger]という。



 イタリア 

▶カンタストーリ[cantastorie]
カンタンバンコ[cantambanco]ともいう。




 オランダ 

▶ストラートサンガー[Straatzanger]
リージサンガー[liedjeszanger]ともいう。



 スペイン 

▶レタブロ・デ・ラス・マラヴィーリャス[retablo de las maravillas]




 チェコスロバキア

▶クラマースケ・ビスネ[kramářské písně]




 ハンガリー

▶キープントガタス[képmutogatás]




 オーストラリア(アボリジニ)






















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by kamishibaiya | 2017-08-02 13:29 | 絵を見せて語るメディア | Comments(0)

「ポレポレ」は、スワヒリ語で「のんびり、ゆっくり」という意味です。紙芝居屋のそんな日々。


by kamishibaiya