まあ、ちょいとガンガンいこか・02

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フレー! フレー! 出せ、出せ、ウ◯チ!





07月08日(土)
入院1日目。
朝,起きたとき、背骨の痛みは劇的によくなったと感じる。下半身のしびれも軽減しているようだ。
放射線治療とステロイド剤の点滴、そして服用した薬が効いているのだろう。

放射線治療は、骨に対してのもの。
脊椎(胸椎)と股関節の骨にある腫瘍をターゲットに、10回に分けて照射する予定。

ふつう、前立腺がんに対しては、放射線で前立腺に巣食うがんを照射してやっつけるか、
手術して取り除くというような処置がとられる。
しかし、おれの場合は、すでに時遅し。
現在ではもう他の臓器(=骨)へ遠隔転移をするほどにがんが進行しているため、
前立腺がんに関しては、ホルモン治療という選択肢しか残っていない。

ホルモン治療はさっそく始めてくれていて、昨夜の夕食後から1日1回、
ビカルタミドという薬を飲んでいる。

以上のことは、後で調べてわかったことで、
このときには、がんについての、ごく基本的なイロハも知らなかった。

AM10:00 シャワーを浴びる。下半身が動かないため、看護師さんに洗ってもらう。
このとき、下半身にお湯がかけられると、熱いと感じる。
温感の感覚が戻ったようだ。

まさか入院するとは思わないままに入院してしまったので、
レンタル寝巻き、院内用スリッパ、タオル、洗面用具などなど買いそろえる。

07月10日(月)
入院3日目。

午後。ホルモン治療のひとつとして、「ゴナックス」をお腹の、
おれの場合は、特にたっぷりな脂肪のところへ皮下注射。

前立腺がんというのは、男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌によって調子に乗り
いきおいを増すのだという。
だから、男性ホルモンをなくせば、奴の息の根を止めることこそ出来ないものの、
いきおいを抑制することになる。
そのため、精巣を手術で取り除くという選択肢もあるのだそうだ。
つまり、去勢。
が,今は、その去勢を、薬によって行うことが多い。
それがホルモン治療の目的のひとつで、「ゴナックス」という薬を月1回、注射するわけだ[註1]

07月11日(火)
入院4日目。
背骨の痛みは、もうほとんどない。

下半身の麻痺ということは、シモの方の機能も麻痺するということだった。

入院した07月07日、小便が出来なくなった。
これには、前立腺がんということも影響しているのかもしれない。
そこで、導尿カテーテルという管をつっこんで、尿道を通して膀胱へ入れてもらい、
ベッドにぶら下げた蓄尿バッグというビニール袋へ、24時間出しっ放しということになった。

袋に尿がいっぱい溜まると、看護師さんが抜いて出して空にしてくれる。
恥ずかしがるという年齢はとうに越えていて、看護師さんにしても手慣れたようすなのだが、
処理してもらうあいだは、いくら図々しいオッサンでも気まずいというか、申し訳ない気持ちになる。
町では散歩の途中、犬が道路にやらかすと、飼い主がシャベルですくい、処理してくれる。
そのあいだ中、申し訳なさげなようすで、目をそらしたりして待っている犬を見かけることがある。
彼の気持ちがわかる気がした。

入院する前、下半身にジンジンとしびれが増していた07月05日、便意をもよおすが、
出口の感覚が麻痺していて、いきんでも出すことが出来なかった。
ずっと中途半端な感じで挫折。そのままにしておいた。
が、翌日の06日、スムーズとはいかなかったが、なんとか任務を遂行することが出来た。
以来、5日のあいだ、便意を感じることもなく時間が過ぎていたのだった。

そのせいだろうか、こんな夢をみた。

吉本興業が制作するTV番組が、最終回を迎えるのだという。
ヴァラエティなのか、新喜劇のようなドラマなのかもわからないが、
番組のセットをバラして舞台からハケるところも、ドキュメント風に撮影するのだという。
それで次々にスタッフがセットをハケさせて、とうとう最後に、
1棟1間の小さな箱のようなセットひとつとなったとき、
ここはいっちょう派手にフィナーレをかまそうということになる。

そこで、あのコミック・バンド「ボカスカジャン」が登場して、
(「ボカスカジャン」は確かWAHAHA本舗の所属で、吉本ではないのだが、なぜか登場)
「それ出せ! やれ出せ!」と歌いはじめ、箱のようなセットを舞台から出すのを応援する。
やがて、吉本の芸人さんたちもぞくぞくと集まってきて、応援の合唱に加わっていく。
「それ出せ! やれ出せ! 出せ,出せ,出せ!」
と盛り上がり、その中に間寛平さんの姿も見える。
寛平さんは、「ジャンジャカ、ジャカジャカ、出せ,出せ、出せ!」と歌っている。

そういえば、寛平さんは昔、パチンコの歌をうたっていなかったけ?
その歌をうたってるのかな……と、夢の中でおれは思うが、定かではない。
そもそもおれは、その歌を聴いたことがない。

そしてとうとう、セットの箱は舞台からハケて出ていくのだが、
そこで、「この際、出せるものは全部、出しちまえ」ということになり、
なぜか、おれがその渦中にいる。
そしてみんなに囲まれながら「出せ,出せ」コールのさなか、おれは調子に乗っていきんで
ウ◯チを出そうと頑張る。

太鼓は鳴るわ、サンバの笛が鳴るわでいよいよ盛り上がり、いよいよクライマックス。
「それ、出せー!」と、全員声をそろえての大合唱。
と、シーンとなった空白の間の後で、おれは、なぜか関西弁で、ボソリ。

「出ないわ」。

一同、ズッコケる。
「なんや、ソレー! そこは最後に全部出し切ったところで、エンドマークにせな
アカンとこやろ!」
と、明石家さんまさんにツッコまれるが、おれは何も言えない。
「しゃあないわなー」と、芸人さんたちは三々五々、ちりぢりに帰っていく……。


早朝、入院ベッドで、変な夢を見たものだと茫然として、メモする。
そういえば、以前、水まわり機器のメーカーからの依頼でトイレ教育の紙芝居を描いたとき、
「出ろ,出ろ、ウンチ!」と応援する、似たような場面があったっけ……と思い出す。

おかげでか、どうかはわからないが、この日の午前中、看護師さんに坐剤をもらって、
無事に、排出するというお仕事を果たすことが出来た。
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[註1
ちょっと専門的なことをここに書き留めておくと、
男性ホルモン(アンドロゲン)の約95%を占めるのが、精巣から分泌されるテストステロンというホルモン。
これを抑制するのが「LH-RHアンタゴニスト」という薬で、そのひとつが「ゴナックス(商品名)」。
(「LH-RHアゴニスト」という薬が使われることもある。)

男性ホルモンの残り約5%が、副腎皮質から分泌されるアンドロステンジオンなどのホルモン。
5%しかなくても、これがくせ者で、前立腺がんを刺激し続ける役目を果たす。
それを抑制するのが「抗アンドロゲン剤」という薬で、そのひとつが「ビカルタミド(商品名)」。

この「ゴナックス(LH-RHアンタゴニスト)」と「ビカルタミド(抗アンドロゲン剤)」の両方を
コンビで用いるやり方を、
「コンビで、アンドロゲンをブロックする【Combined Androgen Blocked】療法」、
略して「CAB療法」という。
これはつまり、「最大限の効果で、アンドロゲンをブロックする【Maximal Androgen Blocked】」と
いうことで、略して「MAB療法」ともいう。

おれは、「CAB療法(またはMAB療法)」を施術してもらっているというわけだ。











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by kamishibaiya | 2017-08-18 05:29 | 病気のこと | Comments(0)

「ポレポレ」は、スワヒリ語で「のんびり、ゆっくり」という意味です。紙芝居屋のそんな日々。


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