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パルデ・ダーリー/イラン


イランに伝わる「パルデ・ダーリー(Pardehdari)」は
「絵語り」と訳することができるでしょうか。
「パルデ(pardeh)」は、「幕」というような意味であるようです。
幕に描かれた絵を見せながら、物語を語る。

「パルデ・ハーニー(Pardekhani)」=「絵芝居」とも呼ばれます。
これは、イランにある伝統的な語り、「ナッガーリー(Naghali)」の
ひとつなのだそうです。

幕──横長の大きな布──に描かれた絵を見せて語るというスタイルは、
インドの「ボーパ(Bhopa)」と同じです。
「ボーパ(男性の語り手)」は、
「パド(phad)」という布に描かれた絵を見せて語ります。

「パルデ・ダーリー」や「ボーパ」は、まったくの静止画です。
舞台の書き割りのように、絵は固定されたまま動かない。
場面が次々に展開するというわけでもありません。

そのため、これらのメディアでは、
絵を見せることが、どちらかといえば副次的となり、
唄うように語ったり、あるいは、まったく歌ったり、
または声明を唱えるように語ったりというような語り芸が
メインになっているように思われます。

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「パルデ・ダーリー」の動画がありました。
街頭で行われているもの。
観光ツアー向けでもあるようです。

Naghali, traditional Iranian story telling, Shiraz, uppersia tours


次の動画は、なにかの会場内で行われたものでしょう。
PARDE-KHANI / NAGHALI (STORY TELLING) _ TEHRAN _ 1
PARDE-KHANI / NAGHALI (STORY TELLING) _ TEHRAN _ 2
PARDE-KHANI / NAGHALI (STORY TELLING) _ TEHRAN _ 3

①の動画中、街頭で演じられていた方が、
②〜④では、二番目の語り手として登場されています。
幕の絵は、どちらの動画も同じもの。
なにか英雄叙事詩の物語のように見えます。

どんな物語を語っているのか、言葉もわからないのですが、
観客とのやりとりの様子が、実にいきいきと感じられますね。

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カヴァド/インド


インドには、絵解きや絵巻など、
絵を見せながら物語を語る伝統的な芸能が、現在も各地で行われています。
「カヴァド(Kavad、Kaavad)」もそのひとつ。
ラージャスターン州に伝えられ、
その歴史は300年とも400年ともいわれています。

一般的に「絵」は、紙や布に描かれるものですが、
カヴァドでは、木の板で作られた箱に描かれます。

箱には扉があり、それが折りたたみ式になっていて、
たたんだり、開けたりしていくと、次々に場面が展開していく。
その絵を指さしながら(クジャクの羽根を使うこともあるようです)、
物語を語っていくというわけです。

あるいは、あらかじめ布で板を覆っておいて絵を隠しておき、
それをずらして取り外すことで、場面場面の絵を見せていくということも
しているようですね。

そうして次々に扉を開いていき、最後の扉を開くと、
その奥に、神さまの神像が置かれていたりします。
この神さまは、物語の結末で登場し、救い主のはたらきを担ったりするのだそうです。

さながら箱の奥にご本尊を奉った厨子とか仏壇の、からくり仕立て
といったような風にも見えます。
宗教に関する物語を扱うことも多く、
演じる人は、芸人というよりも宗教家とみなされることもあるそうです。

ちょっとしたタンスほどの大きなものもありますが、
たいていは持ち運びに便利な、小さいサイズ。
これを携えて、語り手は村から村へと、旅をしながら語って歩く。
なので、「Portable Shrine(持ち運び可能な聖堂)」とも説明されます。

これは筆者のうろおぼえの記憶なので恐縮なのですが、
ずっと以前、ブータンの寺院を紹介したTV番組の中で見たような気がします。
こうしたからくりの箱を、
日本の修験者が背負っていた「笈(おい)」のようにかついで歩いては、
その絵を見せながら、人々に語っていたような……。

ブータンは仏教の国ですが、
ラージャスターン州のカヴァドはヒンドゥー教なので、
カヴァドがブータンで行われているというわけではないでしょう。
が、もしかしたらその形式が伝わったのではないかと思うのですが……、
不確かな情報でスイマセン。

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どんな物かは、画像を見た方がわかりやすいですね。
グーグルの「kaavad」の画像検索


「YouTube」に、手作り工芸のひとつとして紹介している動画がありました。



下の動画は、カヴァドを生業(なりわい)としている人々を追ったドキュメント。
Kaavad_Make_Tales - Part1
Kaavad_Make_Tales - Part2

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題材は、「ラーマヤーナ」や「マハーバーラタ」など、神話や英雄、または父祖の物語。
語り手は、物語を記憶していて暗誦するのだといいます。

最近では、このからくりの形式を使って、
子どものための教育に使おうという試みがなされているそうです。

Nina Sabnaniさんという方が、幼児向けの教材に関わられていて、
動画の中で紹介しています。
→「YouTube」の紹介動画

こちらの素材は、板ではなく、厚紙。
仕掛け絵本の「カヴァド」版といった感じでしょうか。

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小西正捷さんによると、
1988年、国際人形劇連盟「ウニマ」の関連行事で、
日本の人形劇団が「カヴァド」形式の「モモタロウ」を演じたんだそうです(1)
どんな試みだったんでしょうか?

いやあー、おっもしろそうですねえ。

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《引用・参考文献》
(1)小西正捷「インド民俗芸能誌」法政大学出版局
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